我々はフードファディズムという間違った食事の情報に惑わさることが多いです。高齢者になっても、若者と同様に粗食ではなく肉・魚等のタンパク質を取らなければ、サルコペニア(筋肉減少症)となり歩行等に影響がでます。必要なタンパク質量は、アルブミン値を見て判断(4g/100ml以上)しますが、アルブミンが高い人の方が健康維持の余力があるようです。アルブミンを増やすためには、動物性たんぱく質を食べることが求められます。また、コレステロールも悪者にされがちですが、老化防止に役立っています。
適度な運動習慣が筋力を維持し、高齢化の心身機能低下を抑制しますし、生活習慣病の予防にもなります。普段歩いている速度が速い方が有酸素運動の効果が上がるようです。
ストレスは心の病のみならず、血圧を上げ血流が悪くなり、免疫力低下、自律神経失調症に悩まされる可能性があります。解消を図る手段の1つが睡眠と入浴です。
人間は浅い睡眠(レム睡眠)と深い睡眠(ノンレム睡眠)を約90分の周期で繰り返していますが、高年齢になると加齢変化が現れます。その中には、睡眠時無呼吸症候群(SAS)があり、低酸素状態が病的老化を促進させます。
入浴は、「温度」「浮力」「水圧」「抵抗」の4つの作用があります。適度な38℃~40℃のお湯は血行を抑止、副交感神経に影響しリラックスします。水圧が血液の心臓への戻りを助けます。その反対に熱いお湯は血圧・心臓に負担をかけてしまうので注意が必要です。
タバコは慢性閉塞性肺疾患(CDPD)やがんの危険度を増します。(がんの男性40%、女性5%がタバコが原因)タバコを吸うことで活性酸素が大量に発生し老化も早めます。CDPDとは、慢性気管支炎、肺気腫などの総称です。
飲酒は、Jカーブと呼ばれる全く飲まない人よりも飲酒量が少ない人の方が死亡リスクが低下する結果が表れています。お酒の量を適量にした飲み方が良いようです。
健康診断は、40~74歳が対象の特定健康診査、75歳以上を対象とする後期高齢者医療健康診査があります。その他がん検診もあります。さらに65歳以上の高齢者を対象に基本チェックリストや問診なのどにより身体機能チェックを行い生活機能の低下防止が行われています。最近は口腔ケアが全身の健康、介護予防のために重要であることもわかりました。
健康食品は、国の基準に合う「保険機能食品」とそれ以外の「いわゆる健康食品」に区分されます。保健機能食品の中に「特定保健用食品(トクホ)」はその有効性・安全性を国が認めているものです。「栄養機能食品」は有効性と安全性が蓄積しているビタミンやミネラルを含むもの、「機能性表示食品」は特定の目的が期待できるものです。そして「いわゆる健康食品」は日本健康・栄養食品協会の基準に基づき保証されたものに「JHFAマーク」の表示を許可しています。なお、これは品質の保証であり、効果の保証ではありません。しかし、これらは薬の代用ではないことを覚えておいてください。
体内で生じる活性酸素は老化やがん等の疾病を生じやすくさせます。それを予防するものが抗酸化成分です。ビタミンA・D・E・Kは、脂溶性ビタミン(DEKA)ですが、過剰摂取は体内に蓄積されるので注意が必要です。
介護が必要となる原因は、生活機能の低下を招く認知症、骨折、転倒、関節痛、高齢による衰弱です。これら早期予防・改善で自分らしく元気に生きていくことができます。このため、介護予防事業として、一次予防、二次予防、介護予防・日常生活支援事業があります。
一次予防は、自立している高齢者の現在の暮らしを維持向上するものです。二次予防は、要支援・要介護状態に陥るリスクの高い高齢者を早期発見し、その改善に取り組むものです。介護予防・日常生活支援総合事業は、生活支援サービスを提供するものです。ところで地域包括支援センターとは、高齢者が住み慣れた地域で安心して生活を続けられるように主任ケアマネジャー、保健師、社会福祉士が連携して支援するものです。
低栄養は、血中コレステロール160mg/㎗未満、血中アルブミン4g/100ml未満、体重減少1kg/1ヵ月では危険性があります。このため、特に血中アルブミンを増加させるためには、タンパク質を多く含む肉、魚をバランスよく摂取することが必要です。
なお運動器の機能向上を図る上で注意しなければならないことは、栄養状態が悪いと逆効果になるということです。低栄養でタンパク質が不足していれば、分解が進みかえって筋肉の萎縮が生じます。高齢者の筋力低下も生活の質を低下させます。身体活動量を上げ心身の機能を高めること、女性は尿失禁の予防改善を行うために骨盤底筋を引き締める体操等に心がけましょう。
認知症の予防には、①日記や家計簿をつけること➁料理や掃除などの家事をいつもと違う方法で行ったり、同時に行うこと③普段とは違うところに行く、普段とは違う道でいくなどがあります。
うつの対処では、①積極的に地域の活動に参加する➁睡眠の質を上げる③物事は臨機応変に考える④心身がリフレッシュできる場所で過ごす⑤悩みをゆっくりと話すなどがあります。
最近、軽度認知障害(MCI)が注目されています。軽度認知障害の原因となる疾患を放置すると4年のうちに約半数が認知症になるという調査もあります。
口腔ケアには、①かむための筋肉を鍛える➁舌の動きをよくする③飲み込む力をつける④噛み応えのあるものを取り入れる⑤口の中を清潔にする方法があります。口腔ケアを怠るとかむ力が衰え、細菌が増殖し肺炎に繋がる危険性もありますし、フレイルとして社会性の低下、生活範囲の縮小、精神性の低下、低栄養、身体機能の低下等侮れません。