これからの高齢社会

 高齢者のイメージは「弱者」ととられがちですが、実は65歳以上の80%は自立し、社会貢献ができる能力を保持しています。そして、高齢者の主観的幸福感はその能力を社会に拘わる中で提供することで満たされます。その結果高齢者の生活の質(QOL)は高められます。
 人口学的に「高齢化とは、総人口の65歳以上の割合が多くなること」、「高齢化社会とは、高齢者人口が全人口の7%以上になること」、「高齢社会とは、それが14%以上になること」です。現在の日本は、すでに28.1%ですから、本格的な高齢社会といえます。もともと日本の平均寿命は低かったのですが、欧米文化の流れから食生活が変わり世界一の長寿国になる一方で、少子化が進んだ結果によるものです。
 高齢者はお金がないというのも錯覚があるかもしれません。確かに収入は少ないものの、一方で住宅ローン、子供の教育費も必要ない環境の中では、自由に使えるお金は以外に高齢者の方が高いのかもしれません。60歳以下と以上の個人消費支出は同じであり、若い世代がファッション性を重視し高齢者は実用性を重視した商品を選ぶということも正しくはありません。今は年代の差は消費活動にない状態と言えると思います。
 そして、金融資産の6割は60歳以上の世代が保有していますが、その中身は普通貯金のような流動性資産ではなく、有価証券の割合が高いのが特徴です。ですから、保有資産をどのように切り崩して余生を生きていくのかは、大きな問題なのです。資金面の制約なく生活できる期間を資産寿命といいますが、これを解決する取り組みを金融老齢学といいます。
 さて、老後をよい年の取り方をして天寿をまっとうすることをウェル・ビーイングと言います。その条件は、①長寿 ➁高い生活の質(QOLの向上) ③社会貢献です。高齢者は様々な人生経験を経た高い能力をもっています。日本は世界でも比較的高齢者の就業率が高い国です。高齢期の働き方は多様な形が考えられます。高齢者に役割と居場所を与えることが大切だと思います。そして高齢者が社会からサポートされるのではなく、サポートする側に立つ生き方をプロダクティブ・エイジングと言います。それは、有償労働、無償労働、ボランティア活動、相互扶助、保険行動がありますが、保険行動とは自らが健康で生きることで医療や介護の社会負担を抑制する活動のことを言います。社会全体としてこのような体制を創造していくことが大切です。

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